Selle SMP

第二次大戦終結後すぐの時期は、自転車の黄金時代でした。国全体が二輪で動いていました。そして Coppi と Bartali がジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスでチャンピオンの座を争っていました。
好景気前の数年間のことで、イタリアのモータリゼーションはまだ到来していませんでした。
Martino Schiavon という若き職人により、パドアの歴史的中心地にあった屋根裏部屋で自転車シートが生み出されました。
これが Selle SMP 物語の始まりでした。粘り強さ、イニシアチブの精神、勇気、起業に対する欲望、独自アイデアの力強さへのこだわりといった
古き良き価値観に基づくイタリアの物語です。
年月を重ねるにつれて同社は成長し、革新能力と販売数で世界トップメーカーの一つになるまでに発展しました。
その後、2000 年代の初めにこの業界は、アジア企業による激しい攻勢を受け、深刻な危機にさらされました。
国内メーカーの中では唯一 Selle SMP だけが、低人件費を求めた海外進出の方法を取らずに困難なグローバルマーケットに立ち向かうことを決意しました。

国内生産ネットワークは長年の情熱がこもった作業と犠牲の上に得られた経験とノウハウを失ってはならないという確信を抱き、Schiavon ファミリーは、
革新と品質の面で競う道を選び、ヴェネト地域の生産と雇用を維持しました。
2004 年、長く徹底的な身体計測と人間工学的研究を終えて、
4BIKE シリーズの第 1 号である Pro が生まれました。Selle SMP は、自転車シートの全く異なる、かつ画期的なコンセプトの創始者になりました。
2006 年 7 月 21 日、Martino はこの世を去りました。
彼は 60 年前の 1947 年の同じ日に事業を開始したのでした。何年も前から会社の “かじ取り” は息子である Franco と Maurizio
に譲っていましたが、死の直前まで社長として毎日現場に顔を出していました。
現在 Selle SMP は、高域人間工学シート分野のトップ企業です。
60 年が過ぎ去りましたが、シートは依然、狭い屋根裏部屋で製作されていた頃と同じ情熱、そして職人技でもって、一つ残らずヴェネト地域で製作されています。
数年前までは世界の大手自転車メーカーへの供給に注力していましたが、長年にわたる徹底的な研究開発により、世界市場における
Selle SMP ブランドの位置付けが大きく変わり、高級、中級、低級の製品を供給できる体制ができました。